プレゼンテーションスキル

『散歩のすすめ』原稿公開

 

私が実際に行ったプレゼンテーションを公開します。数年前に福岡のセミナーで見本として披露した約7分の作品です。論理の重要性と事前に練られた言葉の面白さがご理解いただけると思います!

 

『散歩のすすめ』

皆さん、減って嬉しいもの、何があるでしょうか。体重、残業、喧嘩、、、いくつかありますが、私が一番減らしたいもの、それは、靴底です。
散歩が大好きな私にとって、歩いてきた証は勲章だからです。原始的な趣味と侮るなかれ、かつて偉大な哲学者アリストテレスやカントなどが熱心だったように、散歩は身体を鍛えるだけでなく精神も整える古から続く健康法なのです。

WHOによると、2015年に、世界でうつ病で苦しむ人が推定3億2,200万人となりました。全人口の約4%に当たり、2005年から比較するとおよそ18%増加しています。想像ですが、アテナイやスパルタで哲学を肴にワインを飲んでいた時代よりも増えているでしょう。心が病みやすい現代だからこそ、散歩の力を見直すべきではないでしょうか。

今回は、心身が自然と鍛えられ、人生を豊かにする簡単な習慣である”散歩”についてお話します。

 

まず、散歩は心と体が喜ぶものです。足が”第2の心臓”と呼ばれているのをご存じでしょうか。交互に一定のリズムで動くことで、ポンプの役割を果たして全身に血液を運ぶことからその別称となりました。

歩けば歩くほどに血が巡るので少しずつ体温と心拍数が上がり、大脳が活性化されてスッキリと晴れやかな気持ちになります。更に、歩く習慣は当然ながら足の筋肉を増強させます。

筋肉は脂肪を燃焼させるエンジンですから、第2の心臓が運んだ酸素をエネルギーにして、身体のムダをどんどん燃やしていきます。散歩によってしなやかに鍛えられた機能的な足は、見た目にも美しいのです!

 

次に、人生を豊かにする作用についてお話ししましょう。散歩が他の運動やスポーツと大きく違う点は、それを行いながら自分自身と向かい合って考え事をしたり、他者とゆっくりと会話ができたりするところにあります。

そしてそれは、歩きながら行うことによってプラスの効果をもたらしているのです。立ち止まって考えるより、自分自身が前に進みながら考える方が肯定的な結論に到達しやすいのです。

瀬戸際で決断ができないとき、アイデアが出ずに行き詰ったとき、自分の背中を押すように靴紐を結んで一歩踏み出しましょう。そこには邪魔をするスマートフォンやテレビやYOUTUBEはありません。

その代わりに、何気ない道の中で自分の本音が聞こえてきます。誰かが隣にいるときは、散歩は会話を濃密にさせます。同じ目的地、同じ視線は共感を促し、変わる景色は話題を提供します。雑踏がプライバシーを保護してくれるので込み入った話もしやすいです。

何より、有限の時間は核心まで最短ルートで論理を組み立てさせるので、劇的な展開を迎えやすい特長もあります。多くのカップルが初めて手をつなぐのは歩いているときなのではないでしょうか。

心臓の鼓動と手汗を気にする2人に、目的地である素敵な佇まいのイタリアンレストランが見えてきたら、散歩はディナーデートと名前を変えます。

 

最後に、散歩の圧倒的な気軽さを説明します。スポーツジムの費用は月に1万円前後なのに対し、散歩は喉が渇いたときの120円のみ。とてつもなく低コストです。

加えて、日常生活の移動の一部を徒歩に置き換えれば時間もあまり消費しません。特に福岡はご存知の通り主要な街と街が近いです。ここ博多の会議室から天神駅まで歩いて30分足らず。

そうなのです。”博多”の街は”図った”かのように散歩に適しているのです。

また、皆さんの中でジョギングを挫折した経験のある方もいらっしゃるかもしれません。激しい有酸素運動は汗がでるため、家に戻ったら洗濯とシャワーがセットで待っています。日々のリズムを少し変えないと継続が難しいのです。

しかし、走らず歩けば涼しい顔で家に帰れます。散歩は数枚の小銭とわずかな時間の余裕だけでできるローコストハイリターンな運動なのです。

 

シンプルな習慣ですが、これが私たちの肉体と精神を育み、頭脳を働かせ、人と人との結びつきを強固にするのです。さあ、今日から生活の中に散歩を取り入れてみましょう。
皆さんが歩けば、近い未来、WHOが届けるニュースはもっとハッピーなものになることでしょう。皆さん、靴底を減らして、日常の喜びを増やしてみませんか。

 

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こちらのプレゼンテーションは動画化もしております。

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