プレゼンテーションスキル

『小さな命を救う 小さな思いやり』原稿公開

 

世界の飢餓を題材にしたプレゼンテーションです。意図的に冒頭にユーモアを入れて和ませてから一気にシリアスなトーンに持っていきます。段落ごとに泣きそうなったり力強く語ったりと演者の語り方も重要な原稿です!

 

『小さな命を救う 小さな思いやり』

「本年もよろしくお願いします」と今週水曜は早速職場の新年会がありました。飲んで語らう宴はそれなりに盛り上がるのですが、油ものが苦手なミドル世代、炭水化物は食べないダイエットチャレンジ女子、サラダは初回の取り分け分のみの肉食ヤング男子など食の嗜好はそれぞれなので、幹事の私は毎度頭を悩ませます。

今回も、飲み会の最後、参加者の忘れ物を確認するときに、大量に残った食べ忘れを見て肩を落としました。今皆さんがそんな光景を想像できるのは、きっと似た場面を目の当たりにした経験があるからだと思います。代金を支払っているのでお店の人は文句を言わずにそれを処分します。

ですが、食べられるものは今日も捨てられ、明日も、明後日も捨てられ続けていきます。

 

SDGsをご存じでしょうか。2015年に国連のサミットで各国の代表によって決められた2030年までの世界が目指す17の目標です。

17のうち1番目が「貧困をなくそう」続いて2番目が「飢餓をゼロに」です。捨てられる食品は今や世界の問題となっています。食料が潤沢な日本には関係のない話と割り切りたい方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、そうは言っていられない理由もでてきたのです。本日私からは、飢餓と食品ロスの現状、問題に取り組む意義、私たちが今からできることをお話しします。

 

世界には、深刻な飢餓により命を落とす人が多くいます。耳を覆いたくなる情報ですが、ユニセフによると、5.6秒に1人、5歳以下の尊い命が消えています。

このプレゼンテーションはここまで2分半が経過していますので、26人が亡くなっています。食べ物に困らない私たちにとっては対岸の火事かもしれませんが、もしあちら側の岸に生まれていたら、食の不均衡を嘆きながら日々食べ物のことばかりを考えなくてはならないでしょう。

国連WFPによると、全世界では毎年およそ13億トンの食品が捨てられています。生産される食料が約40億トンですので3分の1に相当します。世界には余るほど食べ物があるのに、飢餓で苦しみながら命を落とすのはどれほど無念でしょうか。

私にできることは限られているかもしれませんが、餓死する子供があまりにも可哀そうで何かをしてあげたいのです。

 

次に、社会で認められて活躍するには、貧困の問題を直視して取り組む必要があることをお伝えします。

2006年、当時の国連事務総長であるアナン氏が金融業界へ向けてメッセージを発信しました。

簡単に説明すると、機関投資家は投資を行う際に企業の“環境、社会、ガバナンス”を反映させなければならない。つまり、売上や利益だけでなく、世界を取り巻く諸問題に向き合う企業を評価しなさいとしたのです。

貧困や飢餓に留まりませんが、課題から距離を取ってしまうと、気が付けば社会から置いていかれてしまいます。既に日本でも多くの企業がSDGsに意欲的に取り組み、企業の社会的責任を扱う専門部署を構えたり、寄付や地域貢献イベントなどを以前にも増して実施したりするようになってきました。

 

最後に、私たちがすぐにできるいくつかのアクションを提案します。

スーパーマーケットには無数の食材が並んでおり、自宅の冷蔵庫では何日も保存ができるので、ついつい買いすぎてしまって賞味期限切れで食材を腐らせてしまう方も少なくないでしょう。

本当に必要か、その自問で買い物は変わります。大食いチャレンジ、食べ放題、大盛り無料、もとを取ろうと必死になるよりも、自分に必要な分を食べて世界と分け合う気持ちを持ってはいかがでしょうか。

付き合いで嫌々行く飲みニケーションも私は賛成できません。好きな人と過ごす楽しい時間は食が進みます。そうでないときは時間だけが進みます。そんなテーブルには往々にして冷えただし巻き卵が鎮座しています。

最近では、時代の先端を行く人々の中でWEBとカメラを使った”バーチャル食事会”なるものが流行っています。参加者が各々の自宅でそれぞれ寛ぎながら、画面越しに会話を楽しむ食事会です。自分の好きな食べものをちょうどいい分量で楽しめます。

 

私たちの見えないところで今日も苦しんでいる人々がいます。悲しい現実に目を背けず、協力する姿勢をとれば社会はちゃんと見ています。そして世界を救う行動は大それたものではなく、日常生活を見直すだけです。
小さな思いやりの積み重ねで世界中の人が健康に食事ができるようになってほしいと願っています。そのうちバーチャル食事会で貧困に苦しむ彼らとの距離が近くなったとき、まっすぐ目を見られるような生き方をしたいです。
新年会の食べ残しから世界に思いを馳せた宴の後でした。

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