『ミニマリストの生態』
私の後ろに見えるタンスには毎月約4,000円のコストがかかっています。リース家具というわけではなく、占有面積を、この家具のために支払っている賃料として捉えているからです。
生活空間に自分以外の何かがあればその分窮屈にを感じます。設置しなければ全て寛ぐために部屋を使えますが、服を収納するので仕方なく置いています。倉庫を借りれば区画ごとに料金を取られるように、物は存在するだけで費用が発生します。
所有物その物が与える豊かさと維持するための荷重の二つの側面を持っているのです。その真価に気づき、最低限の所持品で生きていく人々をミニマリストと呼びます。感化された私のように、近年、の同志士の増加によって市民権を獲得しました。そして、殺風景な景色が生み出す3つの利点は、同派でなくとも注目すべきだと話題となっています。
今回は金銭的な利点に留まらず、管理力や決断力を養成させるミニマリストの生態を紐解いていきます。
まず、無駄を排除して得られる金銭メリットをお話しします。
仮にタダで貰える家具でも場所代がかかるので必要ありません。気分によって食器を使い分けるのも時間が勿体ない、すなわちTime is moneyで時間代が嵩むと考えます。
財布の紐は片結びされていますから、街へ出ても衝動買いは滅多に無いです。しかし、私たちは守銭奴ではありません。上質な生活を送るための居住環境や仕事道具の改良には金銭を惜しまないのが特徴です。むしろ注ぎ込まれるお金は止(とど)まることを知らず、結ばれていた財布の紐を一時的に全開にする大胆さも心得ています。
その代わりに使わなくなった旧品は世の中に還元して対価を得ます。読まなくなった本は意外なほど高く売れますし、家具家電、小物に至るまで、あらゆる不用品が換金可能です。
ミニマリストは場所代、時間代、買い物代を貯金して、自らが認める価値に投資し、タイミングを見計らい手放し、循環させながら最適な日常を創造するのです。
次に、ミニマムな生活がもたらす管理力の秘密をお伝えします。
多くの人は自分が何枚Tシャツを持っているか知りません。ユニクロで面白いロゴTシャツがあれば新入りが増え、度重なる洗濯で首まわりがくたびれたら寝巻きに降格するだけで在庫は増え続けます。
普段目の届かない押入れやクローゼットは、2軍3軍となった家庭雑貨の墓場となりがちです。どこに何がどれだけ入っているかを把握していないと可能な限り詰め込んでしまうのが人間の性なのでしょう。
いつドラえもんがやってきても寝床を用意できるように、浮気中に本命が突然来訪してもバレないように、空間という名の流動資産を確保します。物欲を満たすには入れ物が必要です。
容量を把握しながら購入・売却を繰り返す習慣は在庫管理能力を恒常的に向上させます。ミニマリストがミニマリスト足るには生活全体を包括して捉え続けるのが必須なのです。
最後に、快適さを維持する過程で成長する決断力について解説します。
送別のハンカチ、引出物の調理家電、誕生日祝いのキーケース、私たちは感謝や思いやりを形にする贈りもの文化を大切にしてきました。どれも大切な人との思い出が詰まっているだけに捨てづらいです。また、いつかは着るかもしれない、使うかもしれない、かもしれないシリーズの控え選手たち、これらの扱いも悩ましいでしょう。
本当に必要なものを見極め、取捨選択の基準を設定して、思い出に感謝しながら手放すのは一つひとつが決断です。仕事ができる人のデスク、取り分け経営者の業務エリアは往々にして綺麗です。
意思決定が生業の彼らは、利益を追求する中で断捨離を適宜行うからです。贈答品を介した人間関係や未来の可能性は時に行動を縛りますが、経営者思考の天秤を整備すれば迷いは少なくなります。
ここ数年広まってきたこの新しい価値観は、今後ますます関心を集めるでしょう。効率的におトクに暮らす術(すべ)であり、極める者には私生活やビジネスに生きるスキルを習得させるからです。
ミニマリストという言葉にはどこか控えめで後ろ向きな響きがありますが、享受できる幸せはマキシマムです。本屋に足を踏み入れれば、購入意欲を刺激するたくさんの関連書籍が見つかるでしょう。そんな時に同時に読まなくなった本を売るのがミニマリストの考え方です。
私の部屋も在り方を見直して、狭いながらも空間が増えてきました。さらに、隣に1人分のスペースが必要となる未来に備えてこちらも空けています。この場所に限り、コストはいつでも大歓迎なのですが。
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