おすすめ プレゼンテーションスキル

論理的に考えを伝えるプレゼンテーション

 

この記事では、論理的な話し方の王道『ストーリーテリング』を理解できるようになります。実際に佐藤が過去に行ったプレゼン原稿も使用し、仕組みを説明します

 

目次

プレゼンテーションは論理と語彙

今回は普段の仕事で、報告や連絡、相談などの自分の考えを伝える簡単なプレゼンテーションをされている方にとって有益な記事です。

苦手な方多いですよね。色々と分かってくれている同僚に話すのと違って、事情をよく知らない人たちに説明しないといけなかったり、新しい提案をしようとするときだったり、内容以前にどうやって伝えればいいのか。よく相談を受けます。

「事前にパワーポイントで資料を提出して!」なんて指示された経験がある方もいるでしょう。出したら上司から、「グラフを小さくして、横にメッセージを書いて」「アジェンダをタイトルの2ページ目に入れて、結論をワンスライドで追加して」などと言われて資料がどんどん立派になっていき、いざプレゼンテーションとなったらスクリーンを読むのに一生懸命になってしまう本末転倒なパターンを何度も見てきました。

そろそろ、パワーポイント依存から卒業しましょう。マイクロソフトのアプリを使うなら、パワーポイントと一緒にワードで秀逸な原稿を一緒に添付すれば周囲は黙ります。プレゼンテーションは、論理と語彙、またそれに追加するビジュアルで伝えるのが本来の姿です。

当記事では、私が以前行ったシンプルなプレゼンテーションを紹介させていただき、その後に、作成のコツをお伝えします。短い時間の中で、ストーリーテリングという論理と、言葉の工夫を学べますので、あなたのお時間をいただけますと嬉しいです。では、ご覧ください。

 

『日本人は働き屋さん』

皆さんも耳にしたことがあるかもしれませんが、日本は長時間労働の国です。データブック国際労働比較によると、2012〜2015年の4年間、日本人男性の就業者のおよそ30%が、週に49時間以上の労働をしています。アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランスの男性では14〜22%なので、約10%の差があります。日本人は世界の中でも働き者として目立っているのです。

その一方で、労働生産性を表す一人当たりのGDPでは、日本は世界で25位です。引き合いに出した国々よりも下位となっています。つまり、働き者ではあるけれども、残念ながらその成果はイマイチ、ということです。

 

私はこの理由を、日本人は“頑張り屋さん”だからではないかと考えています。頑張り屋さんという言葉は、頑張る人を言い表しているのではなく、文房具屋さんやお菓子屋さんのように、“頑張り”を提供して対価を得ているといった意味です。

残業が増えてしまっている部下に「最近頑張っているな!」と声をかける管理職は多いでしょう。仕事を工夫して早く帰る人は、何故だか申し訳なさそうに帰ります。会社に身を捧げる大和魂に拍手する風土が、まだまだ根付いているのです。「働き方改革」や「ダイバーシティ」が流行語になっている昨今ではありますが、長時間労働の文化が急に変化するのは難しいのかもしれません。

 

それでも変えるためには、私たち一人ひとりが多数派の働き方に流されずに、適切に頑張るのが重要だと考えています。今日ここにいる優秀な皆さんなら、本当はもっと早く帰れるのではないでしょうか。そんな人が増えて、現場から徐々に新しい空気が生んでいくことが、何よりの変革になると思います。

 

長時間労働が見直されれば、日本人の生活は今より潤います。朝から美味しいハンバーガーを食べられるかもしれません。夕方に話題の美術展で感動できるかもしれません。日々の営みに活力が生まれ、仕事への熱量も増してより効率的になるかもしれません。そうしたらGDPも上がります。だから、私たちの働き方が日本を変えるのです。

 

分かりやすく伝えるストーリーテリング

流行りのテーマで考えをコンパクトに伝えるプレゼンテーションです。文章だけで内容がご理解いただけたと思います。

そもそも、グラフや表が次々と登場する壮大な資料を創作される方も、結局伝えたい情報はそれほどありません。データを出すなら絞りましょう。分析をした証を示せば仕事している感は出ますが、数字を伝えるだけなら人が説明しなくていいのです。

伝えるのは「データ」ではなく「メッセージ」です。詳細が気になれば聴衆から質問が来ますから、そのときにより深いデータを提供するのが効果的です。

説明が分かりやすいのは、論理の王道である「ストーリーテリング」を使用しているからです。

話が、背景→問題→提案→解決と進むから期待どおりに心地よく理解できます。ストーテリングについては別の記事でも解説していますので、ご興味のある方はそちらもご覧ください。

今回のプレゼンテーションでは、ストーリーテリングを際立たせるために段落も4つにしています。さらに、段落ごとの最初の文でその段落のメッセージを集約しているから、次の展開に変わったタイミングが明確になります。実際に各段落の始めの一文ずつをつなげるとこうなります。

 

①    皆さんも耳にしたことがあるかもしれませんが、日本は長時間労働の国です。

②    私はこの理由を、日本人は“頑張り屋さん”だからではないかと考えています。

③    それでも変えるためには、私たち一人ひとりが多数派の働き方に流されずに、適切に頑張るのが重要だと考えています。

④    長時間労働が見直されれば、日本人の生活は今より潤います。

 

これだけでも意味が通じますよね。これが骨組みであり核心です。それぞれの段落でこれらの文章以降はその説明をするから、聞いていて迷子になりません。論理的、とはこういうことなのです。

「結論から話せ」とか「データで説得しろ」とかではなく、本質は、言葉で道を作るところにあります。学校では習いませんが仕事では使える知識ですから、全てのビジネスピープルに伝えたいと思っています。

 

言葉を彩る

論理が整えば、あとは言葉を装飾します。特に意識すべきは、同じ表現の繰り返しです。「働き方改革」がテーマだと、「働き方」と何度も言ってしまいがちですが、情報量が少なくなりますので言い方を変えましょう。「労働」「就業」「文化」など文脈に合わせて言葉選びが必要です。

また、「頑張り屋さん」の言葉遊びや、冒頭に言及した「G D P」を最後に再登場させて締める雰囲気を出すなどのテクニックも散りばめています。これらはアドリブでは不可能です。全体を推敲しているから整理して展開できるのです。だから、プレゼンテーションは原稿を準備するのです。

断言しますが、スライドに映る文字を読むプレゼンテーションと、作り込んだ原稿を予め覚えておくのとでは、実践に雲泥の差が生まれます。スティーブジョブズをはじめとする欧米のスタイルを見て、「なるほど、原稿を覚えて、手を動かして聴衆を見ながら話せばいいのね。

でも私たちは忙しいから覚える時間なんてないから無理だよね」と大いなる誤解をされます。違います。

原稿を覚えているのではなく、“作り込んだ”原稿を覚えているから心を打つのです。効果的に伝えるための論理を使用して、適切に表現する語彙を用いているのが、いわゆる欧米のスタイルです。

私たちは日々の報連相で、ちょっとした発表で、プレゼンテーションの腕試しができます。少し勇気を出して、パワポ資料と一緒に、論理と語彙を意識した原稿を添えてみてください。最初は驚かれるかもしれません。

ですが、やがてあなたに資料の作り方を指導する人はいなくなり、反対に、プレゼンテーションの方法を聞きにくるようになります。会社員人生が変わるので、ぜひ挑戦してみてください。

 

 

====================

こちらの記事は動画化もしております。

-おすすめ, プレゼンテーションスキル
-, ,

© 2024 プレゼンテーションはコミュニケーション Powered by AFFINGER5